::コード・ブルー

コード・プルー ドクターヘリに、出ているヘリコプターが、気になって調べた。

マクダネル・ダグラス社のヘリ MD902というタイプだ。

最新モデルではなく、少し古いタイプのようだ。しかし、テールローターが無いヘリコプターは、斬新だ。

3面図は、MD社のパンフレット(PDF)に、載っているので、簡単に入手できた。民間用のヘリなので、軍事用飛行機と違って、入手が簡単で、かつ、正確であるのが、いいね。


My MD902ドクターヘリ 待機中

My MD902ドクターヘリ 飛行中

テールローターが、まったく無いわけではなく、そのかわりのコンプレッサーが、内部にある。

コンプレッサーが作り出した、ジェット気流を、テール先のジェット噴射口から噴射しているのである。

ローター(プロペラ)のサイズこそ違うが、別の場所でコンプレッサー用のファンが回っている。

ただ、プロペラのように、大気の逃げ場が、多い空中と、筒状の中で、大気の逃げ場を、遮断した場所で、風を起こすのでは、効率が異なる。さらに、メイン・ローターが作り出す、下向きの気流の一部は、ヘリの機体に当り、機体を押し下げる力として、相殺されてしまうのだが、その機体の上部に大穴が空いていて、その大穴こそが、コンプレッサーの空気取り入れ口だったとしたら、どうだろう。そう、メイン・ローターが起こした力の一部を、これまでは、捨てていたものを、逆に利用しているのだ。

これだと、機体を押し下げようとする力を、機体を、回転させようとする力に利用できる。不足する力だけをコンプレッサーで補えばいいだけだ。

プロペラや、ローターの作り出した気流が、飛行機や、ヘリのボディーに当ると、進行方向と逆方向に押す力を受けることは、聞けば納得するが、これまで、考えた事もなかった。ヘリではないが、日本軍のカナード翼つき戦闘機「震電」を作った時も、少し調べたが、プロペラを後方に持っていったのも、少しでも、飛行速度を稼ぐための形状、つまり、プロペラの作った気流を、翼やボディーに干渉させないためのデザインだったらしい。また、最近の電動ヘリのおもちゃなども、ローターが、外周部のみで、中心部に近い部分は、棒状なのも、少ないモーターの力を、逃がさないためであったのかとも、気付かされた。

また、ヘリではないが、新しい飛行物体(?)として、チルト・ローターとか、チルト・ウィングといった物がある。

小さめではあるが、揚力を発生させる翼を持ち、90度、方向を変更できる、ローターを持った乗り物だ。

ローターを真上に向ければ、ヘリのように、垂直上昇でき、飛行中は、ローターを正面に向けて、プロペラ飛行機のように飛ぶ事ができる、ヘリと飛行機の良いとこ取りの航空機である。最高速度は、ヘリの1.5倍の速度が出せるし、水平飛行中は、翼の揚力のおかげで、エンジンへの負担も少なくなり、燃費が良い。ローターだけが、動くものをチルト・ローターといい、映画「トランスフォーマー」の冒頭に出てきた2つのローターを持った、ヘリのようなものが、そのタイプ。甲殻機動隊が、使うチルト・ローターと言っているものは、翼も一緒に動くので、チルト・ウィングというものだ。構造的には、チルト・ウィングの方が、ローターの作った気流を、主翼が塞がないので効率が、いいらしい。実用化されているのは、アメリカ軍が使っているV−22のみで、これは、チルト・ローターである。

My V−22 ドクターヘリ バージョン

MD902と比較すると、全長も、全幅も、2倍くらいになるが、定員24名、最高速度1.5倍、航続距離10倍もある。
日本に4機配備すれば、日本のどこでも、最長で1時間で、到着可能な、ドクターヘリとなる。定員24名もいらないので、医療チーム2組に、患者2人に、簡易手術室くらい作れそうな広さだ。これは、ドクター・ヘリというより、動くERといったほうが良い。患者の搬送だけなら、患者一人に添乗員2名として、7人の患者を同時に搬送できる。

民間がだめなら、自衛隊のレスキューに配備してもらいたいくらいだ。ライセンス生産で、機体は三菱重工か、川崎重工、エンジンは、石川島播磨、キャビンは、トヨタ自動車で、騒音、振動対策したフローティング・キャビンなどで、どうだろう。

ただ、問題は、開発時に、墜落事故が多発している機体であるということだ。未亡人製造機というあだ名までもらっている。

ドクターヘリ(チルト・ローター)が、墜落して、ドクター・ヘリを要請したのでは、しゃれにならない。

しかし、V−22が、安全性に欠けているとは、思えない。これは、まったく新しい乗り物なので、パイロットの必要とされる技量が、他の航空機と異なるというだけのこと。ヘリの特性も、プロペラ機の特性にも精通したパイロットが、必要とされる。
前後に、ローター装備のヘリはあるが、左右にローターを持つヘリはこれまで無かった。左右の場合、どちらかのローターが揚力を失うことで、簡単にバランスを崩して墜落する。

ちなみに、垂直上昇できる戦闘機の代表として、ハリアー(3D化は、未定)を上げると、戦闘により撃墜された機体より、操作を誤って、離陸中に墜落した機体の方が、多いらしい。それも、開発中の話でなく、実戦配備後の話である。

ハリアーは、そのほとんどが、退役したが、後継機のF−35B(次回、登場予定)は、これから配備が始まる。いくら、電子制御だとはいえ、パイロットの操作ミスで、墜落するケースが多そうだ。

後記

ヘリを作ったのは今回が始めて。前回の投稿から2週間経っているが、ヘリのせいではない。今回のヘリを含め、新たに8機作ったのだが、試作段階で、製造がキャンセルされた機体や、旧ソ連の戦闘機等、資料が少ない機体があったためだ。

そういった機体は、適当に作るか、まったく作らないのだが、ダサカッコイイ機体があり、惹かれた。これまでの戦闘機に無いルックスを持つ、X−32試作機と、正式採用となった、X−35(F−35B)の元になったと思われるYak−171(旧ソ連
に、手間取ったからである。

X−32を作ると、何故、負けたのかを確認するためにも、競作相手のX−35を作る必要があった。さらに、X−35は、民主化された旧ソ連の技術や、コンセプトを、購入して作られた機体だったからだ。