::SmartPhone(スマートフォン)の原点

Treoとは、スマートフォンという概念/言葉を、生み出す源流となる、最初に製品化された携帯電話である。

特徴は、携帯+小型コンピューター+キーボードといった、ところだろう。

スマートフォンとは「カスタマイズ可能な携帯情報端末PDA)機能が付いた高機能携帯電話」というらしい。

日本の携帯や、Nokiaの中価格帯の携帯も、携帯情報端末機能であるが、カスタマイズ可能という部分が一致しない。

最近では、WindowsMobile搭載の携帯や、Nokiaの高価格帯のSymbian搭載の携帯や、アップルのiPhoneが、スマートフォンの主流であるが、これも定義から言って「疑わしき」存在である。

それは、やはり、カスタマイズ可能という部分にある。上記の3つの携帯は、機能的には、カスタマイズ可能であるが、OSの開発元である、マイクロソフトや、シンビアン、アップルは、カスタマイズという部分を、問題視している感がある。

カスタマイズをするには、自分が、好みのソフトウェアを、自由に導入する必要があるが、上記の3社は、伴に、各社が、認定したソフトウェア以外、導入できない、起動できないといった、足かせを、設けているように見える。

詳しく知りたい方は、後記を見てください。

最初のTreo270は、それまであったPalm機器を、少し、小さくしたサイズに、160x160ドットのタッチ・パネル付きカラー液晶、CPUは、33MhzのDragonBall、キーボード部分は、34キー、その他、操作用ボタンが6個、サイドには、ロッカー・ダイアルが付いている。

全体の形状は、3DCG画像を、見てください。

7cmほどの幅のキーボードは、小さめの斜めの楕円のキーが、使われており、中央から左右に少し、傾いて、キーが配置されている。

これは、開発者が、「どうぞ、両手で持って、お使いください。」と、言っているようだ。

キーが、真横に並んでいないのは、人間工学に基づくものだろう。固定された両手で、親指だけを動かそうとすると、関節の関係から、親指は、円を描いて動くことになる。水平に親指を、動かそうとすると、関節が、窮屈になるからだ。

また、全体幅に比べて、キーが、小さく、キー間隔が、多くとられている。これは、誤入力対策である。

キー間隔を、開けるほど、誤入力は、減る。しかし、キーが小さいと、触感が、悪いし、長時間キーを打つと、指が痛くなる。

そこで、斜めの楕円のキーが、生きてくる。実際にキーを打ってみると、キー間隔は、実際より広く感じる。四角のキーだと、1mmしかない、キー間隔だが、楕円で斜めのキーのせいで、上部は、5mmの間隔がある。だったら、キーを円にすれば、間隔は、さらに広くなるのではないかと、思うだろう。しかし、円にすると、指の腹が感じるキーサイズは、小さくなってしまう。円のキーだと直径4mmだが、楕円だと、6mmの長径になり、指の腹は、6mm四方のキーがあるかのような、感覚で、押せるのである。

幅6mmのキーが横に10個で、60mm、さらに、5mm間隔の隙間が、9あるので、45mmで、トータル105mmのキーボードが、生まれる。もちろん、これは、指が感じる仮想のキーボードで、実際には70mmしかないのである。

Treo270系のキーボードに、不満を感じるユーザーは、少ないだろう。


次に、Treo650である。実際には、Treo600という機器が、あったのだが、私は購入しなかった。

もちろん、Treo270に、満足していたからだ。機能的に満足していた事もあるが、趣味のプログラム作成が、簡単にできるHackという仕組みがあったからだ。しかし、Treo600は、OSがバージョン・アップし、この仕組みが使えなくなってしまった。カストマイズが、出来てこそのスマートフォンである。有料/無料の他人の作ったで、カストマイズ出来ても、私には意味がないのである。

Treo650が、発売されても、上記の理由で、購入意欲が、起きない状態だったのだが、2つの事件が、起きた。

1)Treo270のバッテリーの劣化問題(交換式ではないので、購入店にて、毎年交換)と、液晶に問題が・・・

2)Hackが、解禁になった。

である。

Treo650になると、CPUが、ARMの312Mhzになり、当時、使っていたPocketPCと、遜色がない。むしろ、PalmOSの軽快さから、PocketPCより、早いくらいだ。PocketPCを、持っていた理由は、趣味のプログラム開発と、動画再生、音楽再生、GPSで、あったのだが、Treo650では、全てが実現可能なようだった。PocketPCとTreo270を、持ち歩くより、Treo650を1台のみ持ち歩く方が、いいだろうと購入に踏み切った。

Treo650は、下の3DCGのような、形状である。

購入しての、不満点は、フリップが無くなった事くらいだ。

タッチ・パネル付きの液晶は320x320になり、幅が、1cm狭くなり、厚みは、バッテリー容量の問題で、厚くなった。

キーは、あえて言うなら卵型で、やはり、斜めだ。キー間隔は、4角のキーなら、ゼロなのだが、変形キーのため、上部では、4mm確保されている。中央部でも、見かけ上、1mmの間隔があるように、見える。キーの対角は、6mmあり、面積も増えたことから、指の腹が感じる触感は、さらに良くなっている。指が感じる仮想キーボード幅も、96mmある。(実際は60mmです。)

飛び出した、固定アンテナは、Treo270譲りで、賛否があるだろうが、内蔵タイプのNOKIAソニエリが、電波を、ロストしてしまうような、場所でも、キッチリ電波を掴む事ができる。

次は、先週末に、買い物に出た際に、見つけたPalm Centroである。

Treo650に、不満は、微塵もない。さらに、Treo650以降、混迷を続けているPalm社のTreoシリーズには、まったく興味がなかった。

Palm Centroは、機能的に見て、Treo650と、同じである。ただ、サイズが、小さくなり、軽くなっただけだ。

大きく変わったのは、値段とキーボード。価格はTreo650の半分、キーボードは、デザイン重視の物に変わっている。

Centroは下の3DCGのような形状である。

販売促進用の廉価版という感が強いし、Treoの名前さえ、貰えなかった(いや、Treoの名前を捨てたのかも?)。

しかし、店頭で、手にして、可愛かったので、購入してしまったのだ。可愛いと感じるのは、購買意欲として重要だ。また、安いのも底辺拡大に貢献するだろう。で、その実力が、気になったのだ。安かろう、悪かろうでは、底辺拡大は、見込めない。

安くなったのは、元々が、高すぎたのだ。自社のPDAより安くする事は出来なかったが、ここ3年で、PalmPDAも新規開発も終り、新たな発売もないだろう。開発費も抑える必要があり、このサイズで、打ちやすいキーボードを、追求するのも出来なかったのだろう。

Centroの幅は、約50mm、キーボード幅は、45mm以下だ。Treo650から、15mm削るのだ、単純に考えれは、キー幅を、1.5mm削ればいいが、そうすると、異形キーの恩恵は、薄くなる。そのためかキーは角が少しとれた4角とし、面積を増やす。さらに、1mm弱のキー間隔を確保したのだろう。もはや、45mm幅のキーボードは、限界だと思われる。しかし、6年以上Treoのキーボードに親しんだ私には、結構打てるが、Nokiaの10キーに慣れ、パソコンでも、キーボードが苦手な人は、苦しむだろう。

ただ、使っていくうちに、キーボードの良さに、気が付いて、もう少し、入力し易い、高級機==Treoに流れる人もいるだろう。

価格にしても、サイズにしても、限界に挑戦した機器として、Centroは、認めようと思う。ただ、今後、主流になるだろうWindowsMobileのTreoには、絶対、いかないだろう。

スマートフォンが、浸透するより先に、WindowsMobileの使い難さで、Treoは消滅すると思われる。

スマートフォンの理想は、カスタマイズ可能な、Palmのように、軽く、軽快で、洗練されたPIM機能を、1つのスレッドに閉じ込め(PalmVMで動かす)、通信機器制御スレッド、ファイアーウォール付きWEBエンジン・スレッド、カスタマイズ不可の電話メッセージ機能スレッド(非常用)を、別スレッドで、動かせるマルチ・タスクOS搭載のものだ。

PalmOSは、33Mhzでも、軽快に動いていた。パワーの必要な、音楽再生、動画再生、WEB表示は、別スレッドで行い、カメラ画像の様にPalm画面にオーバーレイ表示すればいい。

カスタマイズをし過ぎて、フリーズしても、PalmVMをリロードするか、殺して、メールや電話はできるユーザーインターフェイスに切り替える事で、携帯としての機能は、損なわない。

PalmVMの中のPIM情報は、WEBエンジンのファイヤーウォールで、外部に出さないようにすればよいし、WEBエンジンは、PalmVMのリソースに、直接アクセス出来ないようにすればいい。


後記
1.カスタマイズの問題

1つは、ウイルスの問題であろう。個人情報を、多く含むPDAであり、かつ、通信手段を、持ち合わせているスマートフォンは、簡単に、情報流出が起きる。

2つめは、機器の安定性にある。カスタマイズ可能なソフトウェアの多くは、OSの深部に干渉する傾向があるし、沢山のソフトウェアを、導入すると、メモリー不足を起こし、機器を、簡単にフリーズ(起動はしているが無反応な状態)させてしまう。

また、一般的に言われる、相性問題もある。ソフトA、ソフトBは、一方を、使っている場合は、問題ないが、2つを同時に使うと、問題を引き起こすといった問題だ。

カスタマイズ可能と言われると、使いもしないソフトを、いっぱいダウンロードしてきて、導入するユーザーは、結構、多いだろう。

導入するだけで、OSの設定情報を、書き換えて、不安定にさせるソフトウェアも沢山ある。

パソコンのOSも作っているマイクロソフトは、この状態を、よく理解している。Windowsでも、同様の問題を、抱えているからだ。

当然、機器が、フリーズすれば、電話が、使えなくなる。時々、電話が、使えなくなる高価なおもちゃを、ユーザーは、欲するであろうか?

パソコンでさえ、根本的な問題解決が、出来ていない現状で、それを、携帯にまで、持ち越すのは、危険である。


2.パーム社の混迷

Palm社が、混迷しているのは、次のような理由だろうと思う。

1)スマートフォン潜在的に欲している購買層に、行き渡り、これ以上の需要拡大が見込めない。

2)他社もTreoを追うように、同種の携帯電話機を出してきて、少ない購買層の取り合いになる。

3)PalmOSでは、次世代規格の通信技術に対応が難しい。

多分、Palm社も、市場調査とか、アンケートとかで、何故、Treoが、売れないかを、考えたのであろうが、結果の解釈を間違えたのだろう。

1)高すぎる==PDA機能が不必要なユーザーには、キーボードが良くても、高いだけの製品でしかない。
      ==スマートフォンなんて必要としていない。
      ==安くたって買わない。

2)キーが小さすぎる==キーの大きさに問題があるのではなく、10キーで、充分である
          ==キーボードはいらない。
          ==キーを、大きくしても買わない。

3)WindowsMobile でないから==知名度の問題
              ==WindowsMobile搭載しても買わない。

要は、いらないから買わない訳で、理由に、意味はないのである。

PDAと呼ばれるPalmPocketPCが、売れなかったのだから、それらと携帯の合体作のスマートフォンは、売れないのである。

では、アップルのiPhoneが売れる理由は、といえば、iPodが、爆発的に売れたせいである。iPodと携帯を、持ち歩く人は、iPodと携帯の合体作であるスマートフォンは、普通に考えて次のステップなのである。

PalmClie)や、PocketPCでも、音楽再生、動画再生はできた。PDA機能もある。ただ、そのかわり複雑な、操作を、ユーザーは、好まないし、音楽、動画を、簡単に、購入させるインフラも、用意しなかったからである。

しかし、iPhoneも、一時の流行だけだろうと思う。音楽再生、動画再生、WEB表示等、表示機能は、問題ないだろうが、携帯に最も重要な、メール機能に問題があると思われる。文字の入力だ。Palmも、PocketPCも、その入力に問題があった。手書き入力、ソフト・キーボードは、タッチ・パネルを、使った技術であるが、これには、フィードバック感が、まったく無いのだ。キーボードでも、10キーでも、クリック感があり、押した事を、指が感じるし、キーの間隔も、指で感じ取れる。最初の頃は、面白がって、タッチ・パネルで、遊ぶだろうが、やがて、廃れるだろう。iPhoneにも、すぐに、10キーが付くだろう思われる。

Palm社は、売れない理由を、色々考え、混迷した。良い製品なのに、何故売れない。良い製品だが、ユーザーは、必要としていないのである。

Wifiが無いとか、GPSが無いからという要求も聞こえてきそうだが、これらが付けば万人が欲する携帯になるのだろうか?

只のカタログ・スペックだけではないだろうか。
付いているけど、使わない。価格が高くなり、より売れなくなるのではと思う。

また、WindowsMobileの選択も正しいのだろうか?

マイクロソフトの押し付けOSのユーザーインターフェイスより、WindowsCEの頃のように、携帯メーカーが、自由にアレンジできる方が、個性的な携帯が出ると思うのだが。

自社開発のUIより、WindowsMobile買う方が、安くすむだろうが・・・