::VF-171

8話まで見たところで、登場したVFについてまとめてみよう。

最初に出てきたのは、新統合軍所属のVF−171である。

形式からみてVF−17の改修機体であると想像がつく。


My VF−17:未完成


My VF−171:VF−17ベースで改修中
実際に、VF−17の基本デザインそのままに、ノーズの延長、コックピット部及び、インテーク部のスリム化が行われている。

また、内側に傾斜した垂直尾翼の形状が、変わっている。

キャノピーの色が特殊(オレンジ系)な事から、ステルス機であるという特性は、変わっていないようである。(*1)(*2)

およそ14年前(2045年)の前作のマクロス7では、VF−11から、VF−17、VF−19への機種転換時期であったので、その流れからVF−17ベースの機体が、2059年に使用されていても問題はないだろう。

さすがに、人気のあるVF−19を、やられメカにする訳にも、いかなかったのであろうし、平和ぼけした、新統合軍という設定にも、VF−19は、合わない。

しかし、VF−17のロールアウトは、2035年頃であるから、24年後の世界で、そのまま使用するというのも問題があるから、VF−171として、改修機体という設定になったのであろう。

残念ながら、VF−171のガウォーク、バトロイド形態は、登場していない。

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ここで、少し、横道にそれます。

前作のマクロス7をご覧になった方なら、ダイアモンド・フォースが使用していたVF−17は、ご存知であろう。

ファイター時は、結構スリムな、ステルス・タイプの機体であるが、バトロイドに変形すると、すごくマッチョになる。

元々、河森先生の設定画は、バトロイド形態のデフォルメが激しいのが特徴でもあるのだが・・・

特に、VF−17,VF−19、VF−21、VF−19改、VF−22の頃の設定画は、バトロイド形態のデフォルメが特に激しく、まるで、特殊レンズを通したような設定画であった。(*3)

手足が太く描かれており、設定画を元に、3DCG化や、おもちゃ用に立体化すると、とんでもない事が起きた。

バトロイド形態重視で、立体化すると、ファイターが、太くて格好悪くなり、ファイター形態重視にすると、とっても華奢な、バトロイドになってしまうのだ。

また、設定通りに、変形させると、胴長になったり、寸詰まりになったりした。

実際に、VF−17,VF−19、VF−21を3DCG化してみた、私が言うのだから、まあ、間違いはないであろし、この3機の玩具で、これぞ決定版という完全変形版が、存在しない事が、それを証明している。

完全変形を売りにしている「やまと」だって、VF−19を2度も商品化しているのに、いま一歩といったところである。

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長々と横道にそれたが、何が言いたいのか?

それは、作品発表順でいうところの前作、マクロス・ZEROから、VFが、全て、CGになって、VF−0、SV−51、VF−25と、バトロイドが全て、華奢になっているのである。

これは、本来の姿に戻ったといってもいいが、河森先生の特徴的なデザインが、CGに反映されていないように、見える事だ。

まあ、CGだって、ファイター・モデル、バトロイド・モデル、変形用モデルを、別々に作ることもできるし、モーフィングさせれば、部分的に、バーツの拡大、縮小、変形だって可能である。が、商品化を行おうとすると、無理がでてくるので、それもできない。

そこで、VF−171であるが、VFは、ファイターが格好良くないと、いけないので、ファイター重視で、CG化すると、バトロイドは、華奢にならざるを得ない。

いくら、VF−171として、VF−17の改修機体とはいっても、そうそう、大掛かりな、改修ではないから、バトロイド形態だって、それほど変わらないはずが、マクロス7に出てきたバトロイドとは似ても、似つかない物になってしまうだろう。

そこで、VF−171は、河森先生と、モデリングの人が、どこまでファイター、バトロイドのデザインを両立させたかが、見ものであるのだが、やはり、やってしまった。

オフィシャル・サイトで、バトロイド、ガウォークを見たのだが、「何のひねりもない」「お粗末な造形」「商品化重視」。

河森先生は、モデリングの人に騙されたんじゃあないの?

モデリングの人:「いや、できません」「無理ですって」

って、本職の人に言われると、

河森先生:「そうかなー」

商品化プランナーの人:「それに、プラモデルになるんでしょ。」「商品化優先にしないと。」

河森先生:「そ、そうだよなー。」

となってしまうパターンである。

ファイターを薄く仕上げた上で、ボリューム感を、バトロイドに出す、ぎりぎりのデザインもしないで、ファイター作って、部品割して、

「ほら、細身になるでしょ。」「設定画のようにはできないでしょ。」

となる。これは、

A)河森先生のデザインを消化できないモデリングの人

B)モデリングの人の専門知識に、ついていけない河森先生

C)河森先生のデザインより、商品化優先のスポンサー

D)スポンサーの意見に負けだ、河森先生

となった典型である。

私としては、

「オーイ、河森先生ー。モデリングって、そんなに難しくないよー。」

「レゴいじってないで、自分で、モデリングしてよー。」

と、言いたい。

ところで、VF−17は、ファイター時に足が腿の中間で90度回転するデザインなのだが、ひょっとして、VF−171って膝下のみが、90度回転するのかな?

膝下の分割線が気になるのですが・・・

これも、ひょっとして、デザイナーの努力不足なんじゃないの?

さらに、ふくらはぎ内側に収納されているはずの、ステルス・ガンポッド、

あの細い足に入ってるの?仮に入っていたとしても、ファイター時に、撃てないよね。

そこんとこ、回答求む。


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後書き

以前、VF−17の3DCG化を、行ったことがある。

ファイター時は、スリムで、かつ、バトロイドはマッチョである設定画に、少しでも、近づけようとしたものだ。


VF−171:結構スリムでしょ。


VF−171:バトロイドは、結構マッチョ感あるよね。設定画に近いかな?

当時は、河森先生に、挑戦といって、多少、変形方法を変えて、ぎりぎりのバランスを追求していた。

細部の造形など、プロには遠く及ばないが、3D化への、熱意や、工夫は、あると思う。

「知恵と勇気」で、頑張る素人モデラーです。

細身のファイターを、細身のバトロイドにするのは、誰だってできるのだよ。




(*1)ステルス機のコックピットを覆うキャノピーは、コーティング処理で、レーダー波長を、反射するようになっている。

これは、コックピット内の構造物(機器、パイロットを含む)からの、レーダー波反射を防ぐためである。


(*2)VF−17は、実機のF−117ナイトホークや、B−2戦略爆撃機から、刺激されてデザインされた機体であろう。

特に形状は、F−117ナイトホークに似ている。

VF−17の特徴は、B−2のような全翼機ではないが、機体下部は、突起の少ないフラット構造になっており、兵装は、機体内部に隠れているか、コックピット横のレーザー砲(?)のように、機体に半埋め込み式になっている。

攻撃時には、レーザーは正面を向き、ガンポッドは、機体の一部が、開き、発射可能な状態となる。

機体上面は、多面体の構造をしている、曲面よりも、完全にレーダー波反射方向を制御可能できるからであろう。

レーダー反射断面積を低くするために、機体が、薄くなっているが、最も厚いコックピット部分より後ろを、薄くする意味はあまりないため、後部は、薄くなっていない。

エンジンの吸入部は、コンプレッサーからの、反射を防ぐために、斜めに取り付けられたフィンで、覆われている。

ファイター時には、脚部は、90度外側に回転するようになっている。これは、エンジン(脚部)を、下面に張り出さないための策で、ふくらはぎ内側は、平面に近く、外側は、大きく張り出している。

さらに、ふくらはぎ後方は、かなり大きい。この部分は、エンジンの構造とは無関係で、推進剤タンクや、兵装用に確保されているのであろう。



(*3)河森先生のバトロイドの設定画を見ると、不思議な感覚に陥る。

まるで、騙し絵を見ているようである。

脚部の視点は、脚部正面右横にあるのだが、上半身は、上部右横から見ているように書かれている。つまり、2つの視点からみた画像を合成しているのである。

上部右横から見れば、パースの関係で、足は小さくみえるはずだが、もう1つの正面からの視点により脚部が、大きく描かれているわけだ。

当時、3DCGを作りながら、河森先生のバトロイドの設定画に近い投影法が、あることに気づいた。

パースの無い、並行投影である。

遠近法の無い世界の画像である。

上部から斜め下向きに撮影
パースあり                バースなし
上体のボリュームは、同じだけど、足のボリュームが、違うでしょ。

パースがないと、どの角度からみても、各部のボリュームは、一緒なんだね。