::ベルサちゃん

買い物に行ったデパートに出店している小さな店に彼女は居た。遠くから見た彼女は、その姿、肌の色から、アメリカ生まれではなく、ドイツ生まれに見えた。目を奪われた私は、店に入り彼女を見た。彼女は、アメリカ生まれの子や、チェコ生まれの子、ブラジル生まれの子の中で、一番輝いて見えた。しかし、良く見ると、彼女は、ドイツ生まれではなく、アルゼンチン生まれだった。もっと良く見ると、ドイツの血やイタリアの血を受け継いだ、混血の子であった。彼女の名前は、ベルサ、昔から憧れていたドイツ生まれの子に良く似た美人だった。

ドイツ産、バルター(ワルサー)PPKという拳銃をご存知だろうか?元々は前大戦時に、ドイツ軍の将校用に、サイズ調整された小型の拳銃だ。しかし、007が使用している(いた)拳銃と言ったほうが判りやすいかもしれない。人によってはバンコラン少佐(パタリロ)の使用している拳銃として記憶しているかも知れない。最近では、アニメ「ストライクウィッチーズ」で、支給されたのもこの拳銃。代替わりした新しい007も、この拳銃に戻っている。(ブロスナン007はワルサーP99を使用していた。)




My ワルサーPPK

ワルサーPPKは、中学生の時分から好きな拳銃だ。海外生活を始めてからは、銃砲店を見かける度に立ち寄ってPPKを探したものだ。しかし、店に並んでいるのは、ガバメントや、ベレッタM92F等の大型拳銃ばかりだった。昨年の中頃、いつも行くデパートに出店していた海賊版DVDを売る店が潰れ、その後に、銃器用パーツを売る店が入った。その店が、今年になって、銃器を扱い始めたようだった。壁に掛けられた銃は、チェコCz75、国産のガバメントのコピー、ブラジル製のコピーガン等だった。私が見を奪われた拳銃は、一番下に掛けられていた。値段は、最近買ったNokiaE71(携帯)より安かった。最上段のCz75や、ポリマーフレームの銃が、日本円で、8万円以上。最下段のベルサが、3万円台だった。輸入物なので、多少割高になっているだろうが、アメリカ辺りで、200〜300ドルくらいで売られているチープガンだろうと思った。家に帰って調べてみると、安売りで200ドル以下で売られているものから350ドル以上する物もあった。機能的には同じだが、表面仕上げの差で、値段が変わる。一般的な黒染め、ニッケル処理されたもの、ブルーフィニッシュ等だ。レビューも幾つか読んだが、意外と良い評価が多かった。




My Bersa Thunder 380ACP

永住権を持ってはいても、外国人の私は、銃器の購入は出来ない。妻の名義なら2つの身分証明書があれば、2週間で、購入許可が下りるらしい。携行許可は、別だ。自宅に護身用として持つ許可が得られるだけである。安いのに結構良い銃らしいので、いわゆる物欲メーターが跳ね上がっているが、良く考えないといけない。銃を買ったことに起因する危険だってあるのだから。

ベルサ サンダー 380ACPはアルゼンチン産の拳銃だ。フレームと銃身の構造や、分解方法等からみて、ワルサーPPKのコピー商品というより派生機種だと思う。同じようにSIGにもPPKをお手本としたと思われるSIG P230という拳銃がある。その銃は、多少改良されて日本の警察が採用したので、日本でも見ることが出きるかも知れない。警察関係のドラマでも登場する。ベルサは、PPKにも似ているがSIG P230JPにも似ている。従兄弟関係だから当然と言える。200ドルクラスの拳銃なので、PPKのように、引き金を引ききらないと発砲できない安全機構は、省略されているようだが、逆に、マガジンを抜くと発砲できない機構とか、専用キーで、内部メカをロックできる安全機構が追加で設けられている。レバーで、安全装置を切り替えるのではなく、本体とは別部品のキーでロックするのは、保管時の事故を防ぐのに有効だ。ロックを掛けると、スライドも、ハンマーもトリガーもマガジンさえもロックされて操作できなくなるそうである。